新型コロナウィルスの影響が世界的なものになっています。
東京オリンピックは2021年に延期され、ついに政府は「緊急事態宣言」を発令し5月6日まで休業要請等となっています。
日銀は短観で7年ぶりにマイナスに転じ、リーマンショック以来のこととして全地域の景気判断を引き下げました。
実体経済への悪影響が出てきつつあります。
この影響力はリーマンショック以上とも言われています。
街を見ても、自粛要請をうけ人影が消えました。
飲食業は特に大きな影響を受けています。
そこで、テナントに配慮するために、国土交通省は、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討するような要請を出しました。これを受けて商業施設では、最低保証賃料の減額や賃料の免除をするところも出てきており、賃料の減額・免除の必要性は急激に高くなってきています。
オーナーにとっては、賃料を維持したままでテナントに退去されるよりも、一時的に賃料の減額・免除に応じる方がよいとの判断からだと思われます。
この点、借地借家法32条1項では、「経済事情の変動」があれば賃料減額請求できると定めています。今回の新型コロナウィルス影響で実体経済が悪くなり、東京オリンピック開催後と併せて地価下落につながるなど継続的な状況となれば、直近合意時点との兼ね合いで「経済事情の変動」にあたるとして賃料減額請求が認められるかもしれません。
また、新民法611条1項では、「一部が滅失その他の事由により使用及び収益」ができなくなったときにも、賃料は「減額される」と定められています。この規定は一時的な事由が生じたときの賃料減額であり、今回の緊急事態宣言をうけて建物を事実上使用できなくなったので、「一部が滅失その他の事由により使用及び収益」にあたるとして、賃料減額されるという解釈も考えられそうです。
いずれにしても、少なくとも、現状でオーナーが何ら賃料の猶予や減額の措置を採っていないようなら、先の国土交通省の要請をもって、賃料の柔軟な措置を採ってもらうように交渉すべきでしょう。
当事務所は、長年にわたり不動産関係の事案を数多く手掛けてきました。
新型コロナウィルスの影響を受けて賃料減額を望まれるテナント様からのご相談をお待ちしております。