様々な債権回収方法と特徴

一言で「債権回収」と言っても、実際には様々な回収手段があります。債権の種類や金額、債務者の対応、債権者がかけられるコストなどによって、いずれの手段を選択すべきかを適切に決定する必要があります。

そこで、以下に債権回収の手段とその特徴について説明いたします。

 

1 電話による督促

債権回収の初期段階での督促方法であり、多くの企業や個人の方はまずはこの方法による督促を行うと思います。

弁護士が依頼を受けた場合にも、電話による督促を行う場合があり、弁護士から電話がかかってきたことによって債務者に心理的なプレッシャーを与えることができ、債務者の反応が劇的に変わることもあります。債権の金額が小さい場合には、コストを抑えるために、電話による督促を中心にする場合もあります。

 

2 内証証明郵便などの郵便による督促

次に一般的なのは郵便による督促です。電話の場合は不在によって連絡が取れないことがありますが、郵便の場合は確実に督促の意思が伝わります。

なお、弁護士が郵便で督促する場合は、内容証明郵便によって督促をすることが一般的です。内容証明郵便とは、郵便局が「いつ、誰が誰に対して、どのような内容の文書を送ったか」を証明してくれる郵便です。弁護士名で内容証明郵便を送ることによって、債務者に対して強い心理的プレッシャーを与えることができるため、内容証明郵便の送付だけで債権回収が実現できるケースもあります。弁護士に内容証明郵便の送付を依頼した場合の費用は3万円程度です。

 

3 民事調停の提起

たとえば債務者の対応がそれほど不誠実ではなく、十分な話し合いをすれば債権回収を図れる見込みがある場合、あるいは債権者と債務者との関係性から、あまり強硬な手続を取ることが適切ではない場合、裁判所の民事調停という制度を利用する場合があります。

「民事調停」は、裁判所(実際には、裁判所が選任した調停委員)が間に立って、債権者と債務者との間の話し合いを促してくれる制度です。専門的知識を有する調停委員のアドバイスを受け、双方の妥協点を探りながら債権回収を図ることになります。

債権者と債務者の対立が激しくならないで解決できる点がメリットですが、話し合いが成立しないことも多い点がデメリットです。

弁護士が依頼を受けた場合には、特に債務者との関係性を維持しなければならないような特別な事情がない限りは、次に説明する訴訟の提起を行うことが一般的です。

 

4 訴訟の提起

最も強制的な債権回収手段が訴訟の提起です。訴訟によって判決を取得すれば、その判決書によって強制執行をすることができ強制的に債権回収をすることができます。また、判決に至る前に、裁判所で話し合いをする「和解」という手続があり、「和解」が成立すれば、その内容に従って債務者に支払をしてもらうことができます。なお、「和解」が成立した場合には、「和解調書」という書類が作成されますが、これは判決書と同じ強制力がありますので、債務者が和解調書に従った支払をしない場合にも、強制執行をすることができます。

債権の金額が60万円以下の場合には、原則として1回の審理で判決まで行う「少額訴訟」という特別な訴訟手続もあり、迅速な解決を求める場合にはこの手続の利用も選択肢に入ります。

訴訟手続は、手続が複雑であり、裁判所に対して自らの主張を正確に記した書面を提出する必要があります。また、弁護士以外の代理人は認められておらず(簡易裁判所においては特例があります。)、弁護士を依頼しない場合には債権者本人が裁判所に出頭する必要があります。したがって、訴訟手続による債権回収を行う場合には、弁護士に依頼することを強くお勧めします。弁護士は判決による解決だけでなく、和解による解決に至るための交渉にも長けていますので、債務者と最終的に話し合いによって解決したいと考えている場合にも、弁護士を依頼するのがお勧めです。

 

5 当事務所にご相談いただいた場合の債権回収の流れ

債権回収には以上のような手段がありますが、当事務所にご相談いただいた場合には、おおよそ以下のような流れで債権回収手続が進むことになります。

 

①ご相談

債権に関する資料(借用書や契約書など)をご持参いただき、ご来所いただきます。もちろん、電話やメールでの相談も可能です。

その際、債務者の住所・勤務先・資産状況・これまでの対応など、できる限りの情報を提供いただけると債権回収の可能性が高まります。

ご相談の際、最初にどのような手段によって債権回収を開始するかを協議いたします。

②内容証明郵便による督促と交渉

債権額が少額であるなど、特にコストを抑えなければならない債権を除き、基本的にはまずは弁護士名にて内容証明郵便による督促を行います。

内容証明郵便に対して、債務者から電話があるなどの反応があった場合には、その時点で交渉を行い、訴訟の提起を行わずに解決できないかを探ります。この時点で交渉が成立した場合は、債務者との間で合意書などの書面を作成します。場合によっては、合意の内容を公正証書にする場合もあります。

③仮差押の申立

債務者に資産があることが判明している場合には、仮差押の申立を検討します。仮差押は、裁判所の命令によって債務者の財産を処分できないようにする手続ですが、この命令を得るためには、仮差押えをしなければならない必要性を裁判所に証明することが必要です。また、債務者の言い分を聞かないで差押えをする手続なので、債権者は裁判所に保証金を納める必要があります。

④訴訟の提起

内容証明郵便に対する督促に対して債務者から何も反応がなかったり、反応があって交渉しても交渉がまとまらなかったりした場合には、訴訟提起を行います。

訴訟提起後は、判決を取得するために活動しますが、判決に至る前に和解による解決が可能かどうかを検討します。和解を成立させるためには、債権者・債務者ともに譲歩が必要ですが、一般に判決による解決よりも早期に解決ができ、その後の支払も判決による解決よりも確実に行われる可能性が高いため、可能な限り和解の可能性を探ります。

なお、債務者に資産があることが分かっていたり、仮差押えができていたりする場合には、判決によって最大限の回収ができる可能性があるため、早期に判決が取得できるように努力をします。

⑤強制執行の申立

訴訟による判決が出たにもかかわらず債務者が支払をしない場合、あるいは和解によって支払いが決まったにもかかわらず債務者が支払をしない場合、判決書や和解調書によって強制執行をします。強制執行の対象となる財産には、不動産・動産・預金・給与などがあります。

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