(契約関係)
・相談
当社は、新規取引先に対して継続的に商品を販売したいと考えているが、どのような契約書を作成したらよいか。また、新規の取引で支払に不安があるので、その対策を教えて欲しい。
・解決
当事務所にて、新規取引先との取引についての詳細を記載した「商品供給基本契約書」を作成しました。また、同時に、個別の契約に使用するための「個別契約書」を作成しました。取引先の信用不安に対しては、「商品供給基本契約書」の中に、預かり保証金の条項と連帯保証人の条項を加えることによって対処いたしました。これにより相談した会社は安心して新規取引が開始できました。
・相談
当社と同種の製品を開発している会社と技術提携をしたいと考えており、その可能性を探るためその会社と協議に入りたいと考えている。しかし、その協議過程で当社の技術や取引先などに関する秘密情報が第三者に漏れてしまうことが心配であり、何かその歯止めを設けたい。
・解決
当事務所にて、機密事項についての「機密保持契約」を作成しました。その中で、協議の過程で相手方に渡された機密事項を外部に開示しないことなどを規定するとともに、その場合のペナルティを規定しました、また、協議が決裂した後も、機密保持義務が継続するとの内容の規定を設けました。
これにより相談した会社は、安心して技術提携についての協議を開始することができました。
・相談
当社はオフィスを賃借しているが、契約の更新時期となり、賃貸人から「今後は定期借家契約に切り換えてもらいたい。」との申し入れがあった。どのように対応したらよいか。
・解決
当事務所からは、定期借家契約を締結すると契約の更新が原則としてできず賃借人に不利になることをご説明するとともに、定期借家契約の変更に応じるべき義務はないことをアドバイスしました。もっとも、近い将来オフィスの移転を検討しており、かつ定期借家契約に変更することによって賃料の減額が得られるのであれば検討する余地もあることをアドバイスしました。
その会社は、3年後に移転を検討していたこともあり、賃貸人と交渉を行い、賃料を15%減額した上で、3年間の定期借家契約を締結しました。
・相談
当社は店舗を賃借しているが更新時期になり、賃貸人から、「周辺相場と比較して賃料が格段に低いから30%の値上げをしてもらいたい。」と請求された。どのように対応したらよいか。
・解決
当事務所が提携している不動産鑑定士に賃料の査定を依頼したところ、たしかに周辺相場は現行賃料よりも20%程度高いことが判明しました。そこで、当事務所が代理人となり、5%の増額との提案で賃貸人と任意交渉をしましたが、交渉は成立せずに調停になりました。
調停では、当事務所から相手方に対して、その物件の瑕疵やこれまでの管理が不十分であったこと、及び共益費が一般的な水準よりもかなり高いことを指摘し、結局10%の増額で解決できました。
不動産鑑定士との提携によって実際の賃料相場を想定できた上で、その物件の特殊性を強調し、相場よりも有利に解決ができた事例です。
・相談
今度当社は、当社の不採算部門を他社に事業譲渡することになった。相手先から事業譲渡に関する契約書案が提示されてきたのでそのチェックをお願いしたい。特に、その事業に関係している当社の従業員の処遇については、従業員の生活を考え慎重に検討したいと思っている。
・解決
当事務所において事業譲渡に関する契約書のリーガルチェックを行いました。同契約書案は、その会社が表明保証(その事業の内容や業績について譲渡会社がその真実性を保証するもの)の内容や表明保証違反があった場合のペナルティが過大であったため、その修正を行いました。また、従業員の引き継ぎ条件について不明確だったので明確化し、従業員の労働条件が悪化しないように配慮しました。
その結果、相談した会社は無事事業譲渡を行うことができ、引き継がれた従業員も従前と同じ条件で雇用が継続されました。
(債権回収・保全)
・問題
当社は通信サービスを提供している会社であるが、通信料の滞納債権(特に長期滞納債権
が増加し困っている。貴事務所にて対応していただくことは可能か。
・解決
当事務所にて、滞納債権をデータベース化し、各滞納者に対して一斉に弁護士名での請求書を送付し、多額の滞納者を中心に電話による督促を行いました。また、住所が不明な滞納者については、弁護士の職務上請求によって住民票を取得し滞納者の現住所を特定しました。
これにより長期滞納者も含め、平均で40%程度の滞納債権の回収が実現されました。
・問題
当社は、今期大幅な増収となりそうであるが、不良債権を税務上償却して税務対策を行いたいと考えている。何かよいアイデアはないか。
・解決
当事務所から不良債権を第三者に譲渡するスキームを提案し、債権の譲渡先を紹介しました。当事務所はその譲渡先に不良債権の査定をしてもらい、譲渡価格について合意が成立したため、当事務所において債権譲渡契約書を作成し、債権譲渡が実現しました。これにより、相談した会社は不良債権の償却をすることができ、税務上のメリットを受けることができました。
・問題
当社は資材販売会社であるが、建築業者に資材を販売したものの、その代金を全く支払ってもらえない。その業者はまだ営業を継続しており、経済的に破綻をしているわけではない。どうにかならないか。
・解決
ご相談者からの事情聴取や当事務所の調査などにより、その建築業者が利用していると思われる銀行2行を特定し、預金の仮差押手続を行いました。その結果、1行について預金残高があり仮差押が成功しました。仮差押えは債権額の全部には満たなかったのですが、仮差押を受けて困った建築業者から、債権全額の支払の申し出があったので、仮差押えの取り下げと引き換えに債権全額の回収を図ることができました。
これは仮差押という保全手続を利用することによって、早期に債権回収が実現した事例です。
(雇用関係)
・問題
当社は飲食店であるが、厨房担当者の従業員を解雇したところ、不当解雇で訴えられた。また、残業代の請求もされている。実際強い退職勧奨も行ったし、かなりの残業をさせていたこともあり不安があるので、訴訟対応をお願いしたい。
・解決
当事務所が訴訟の委任を受け、当該従業員が退職後に退職金を任意で受け取っていたことを証明したところ、裁判所は解雇ではなく任意退職であると認定しました。また、一定の残業代請求は認められましたが、当該従業員が勤務中に、禁止されていた飲酒や喫煙をしていたことを証明したところ、裁判所は残業代の減額を認めました。
このように不当解雇・残業代で訴えられた場合でも、事情を詳細に主張・証明することで有利に解決することができます。
・問題
私は飲食店を経営しているが、ホール担当の従業員との折り合いが昔から悪く、先日も言い合いになり従業員を殴ってしまった。その結果、その従業員から、警察に訴えると言われてしまっている。私としては、今後のことも考え退職をしてもらいたいと考えている。
・解決
当事務所が代理人となり、相談者と従業員からそれぞれ事情を聞いたところ、相談者にも落ち度がある一方で、従業員にも重大な落ち度や雇用者からの指示に違反した行為がありました。そこで、当事務所からの提案で、一定の解決金を支払って退職してもらうことを交渉したところ、当該従業員はその申し出に応じ、退職をすることに合意をしました。なお、その際暴力行為については問題にしないとの合意を取り付け、合意書にその旨を記載することで解決することができました。
(クレーマー対応)
・問題
当社は、ビニール製の袋を販売している会社であるが、消費者から「お前の会社の袋に携帯電話を入れて海に行ったら、水が入って携帯が壊れた。携帯代金10万円を弁償してくれ。」とクレームを受けた。当該製品の注意書きには、海で使用しないようにと記載してあるが、どのように対応したらよいか。
・解決
当事務所が代理人となり交渉を始めたところ、大声を出し、脅迫的な言葉で補償を迫ってきたことから、弁護士名の内容証明郵便で、「貴殿の使用方法は注意書きに反する使用方法であり、販売者が補償すべき法的理由はないこと、交渉の際とはいえ脅迫的な言葉を使用することは脅迫や恐喝に当たる可能性があること」と指摘しました。そうしたところ、当該消費者は冷静になり、購入した商品代金の返還のみを求めたため、相談者が購入した商品の代金のみを返金するということで解決ができました。悪質なクレーマーに対しても、弁護士による毅然とした対応によって早期の解決ができた事例です。