当事務所が医療機関から相談・依頼を受けて実際に解決した事例を、以下にご紹介いたします。
・相談
駅前の商業施設で歯科医院を経営しているが、当該商業施設が閉鎖となったため、立ち退きを求められている。最終的には立ち退き自体はやむを得ないと考えているが、近隣には移転に適する物件はほとんどなく、患者離れなどの経済的損失が大きい。補償について、交渉をお願いしたい。
・解決
商業施設の閉鎖がもっぱら商業施設側の事情であったため、当事務所から弁護士名の内容証明郵便で「本来的には立ち退き請求は認められないが、適切な立ち退き料の提案があれば立ち退きを検討する。」と賃貸人である商業施設経営者に対して通告しました。
その上で、①同じ駅の付近では適切な移転先がなく患者がほとんど離れてしまう可能性があること、②現行の賃料が低いため、移転すると賃料負担が増えること、③歯科医院の場合、移転に伴う工事費用が極めて高額であることなどを主張しました。
その結果、隣の駅の駅前に移転することにはなったものの、経済的損失を補うだけの十分な立退料を得ることができた上、立ち退きまでの半年間について賃料の免除を受けられることができました。
当事務所の弁護士が交渉を担当した結果、経済的損失をしっかりと証明することができ、十分な経済的補填を受けられた事例です。
・相談
都内で美容クリニックを経営しており、医療脱毛を行っている。ある患者にレーザー脱毛治療を数回行ったが、「効果が全くない」としてその患者からクレームが付いており、高額な金銭を請求されている。治療は適切に行っており、不当なクレームであるが、その患者がクリニックに押しかけてきたり、保健所に通報したりするなど、迷惑をしているので対応をお願いしたい。
・解決
当事務所からその患者に対して、内容証明郵便で「クリニックに押しかけるなどの迷惑行為は威力業務妨害罪などの犯罪行為に該当する。」との警告をしたところ、迷惑行為はすぐに収まりました。しかし、それでもなお高額な金銭の請求を行ってきたため、当事務所の弁護士からその患者に対し、クリニックの施術は適切であること、医療脱毛はあくまでも医療行為であり効果は個人差があることを説明しました。
その上で、相談者からは早期の解決の希望があったため、その患者が支払った治療費の一部を返還することを提案したところ、患者の同意が得られ、その患者からは「今後は当該クリニックには一切近づかず受診もしない。」との約束も得ることができました。
当事務所の弁護士による交渉によって、クレーマー問題が早期に解決できただけでなく、今後のリスクも回避する和解をすることができました。
・相談
歯科クリニックを複数経営しているが、分院の一つの運営をある勤務医師に任せていたところ、長年にわたり不当な金銭の支出があることが発見された。その医師には資産がないようであるが、何とか回収をしたいので対応をしてもらいたい。
・解決
当事務所の弁護士と歯科クリニック経営者の協力で不当な金銭の支出を調査したところ、4000万円以上の使い込みが発覚しました。そのため、当該勤務医師を解雇(及び刑事告訴)すること自体は困難ではありませんでしたが、回収を優先させるため、解雇(及び刑事告訴)という手段は避け、勤務を継続することによる回収を目指しました。
そこで、当該勤務医師との間で債務弁済契約書を作成するとともに、連帯保証人を付けてもらい、それを公正証書化しました。また、再度使い込みをすることがないように、運営の規則を明確化しました。その結果、分院の運営を継続したまま、債権回収ができる形で解決できました。
当事務所の弁護士が介入することによって、不正支出の金額が明確化され、その回収についても適切なスキームを形成することができた事例です。
・相談
整形外科クリニックを経営している医師であるが、クリニックとしている建物は父の所有である。私と弟は折り合いが悪く、父の相続が発生した場合に弟との間で遺産の分割方法でもめる可能性があり、その場合、弟が自分のクリニックが入っている建物の相続を主張する可能性がある。そうなると、クリニックの経営に重大な影響があるので、父の相続が発生する前になんとか解決しておきたい。
・解決
当事務所の弁護士がまずは相談者の整形外科医から事情を聞いたところ、お父様との関係は非常に良好であるとのことでした。そこで、お父様とも面談し、相談者の将来の不安を説明したところ、お父様の協力が得られることになりました。
その上で、お父様に対して遺言作成のアドバイスをしたところ、遺言作成に協力してくれることになりました。遺言の内容は、整形外科医の兄がクリニックが存在する建物を取得し、その他の不動産を弟が取得する内容とし、不動産以外の財産の分配についても明確に定め、兄弟間で不公平が生じないようにしました。
その後、お父様が死亡し相続が発生しましたが、遺言どおりに相続の処理が行われ、結果的に兄弟間において遺産分割でもめることなく相続手続が完了し、整形外科クリニックの経営にも問題は生じませんでした。
当事務所が遺言作成に関与することにより、将来のクリニック経営に悪影響を及ぼす可能性がある問題を予防することができた事例です。
・相談
都内の歯科医院に勤務する歯科医師(男性)であり既婚者であるが、別の医院の歯科医師(女性)と仲良くなり、頻繁に遊びに行っていた。自分としては正式に付き合っているつもりはなかったが、相手は正式に付き合っていると思い込んでいたようであり、別れ話を切り出したところ、「セクハラで訴える。奥さんや勤務先にもばらす。」と脅されている。何とかならないか。
・解決
当事務所の弁護士が相談者から事情を詳しく聞いたところ、その女性医師との間には性的関係はなく、客観的に見て交際していると考えられる事情はなかった。しかしながら、その女性医師は精神的にバランスを崩しているようであり、そのまま放置すれば相談者の悪評を拡散したり、相談者の妻に連絡をしてしまったりするおそれがありました。
そこで、当事務所が代理人となり、家庭裁判所に「男女関係調整の調停」を申立て、男女関係の円満な解消(性的な関係はなかったものの)について話し合いをすることにしました。その結果、合計5回の調停期日を経た後、相談者が一定の解決金を支払う代わりに、女性医師には今後一切の連絡を相談者及びその妻・勤務先にしないこと、相談者の誹謗中傷をしないこと、この話し合いの内容を口外しないことを約束させる内容で調停が成立しました。
当事務所が関与し、迅速に調停申立という手続を選択した結果、相手方も満足する形で解決ができ、相談者の不安が解消された事例です。