(建物明け渡し)
・相談
不動産オーナーだが、賃料を半年間滞納している賃借人がいる。連帯保証人が付いているが、連帯保証人も支払をしてくれない。早急に退去してもらいたいが、どうしたらよいか。
・解決
当事務所から賃借人に対して、滞納賃料の督促と期限内に支払をしない場合の解除通知を内容とする内容証明郵便を送付しました。また、連帯保証人にも督促の内容証明郵便を送付しました。期限内の入金がなかったことを確認後、直ちに賃借人及び連帯保証人を被告として建物明渡と賃料支払いを求める訴訟を提起しました。
その後訴訟の第二回期日において、建物明け渡しと滞納賃料の一部支払いの和解が成立し、無事任意の明け渡しと滞納賃料の支払いを受けることができました。この件は、当事務所へ相談から明け渡しまでわずか47日間で解決しました。
・相談
テナントビルを所有しているが、築40年を経過して老朽化し、現在の耐震基準を満たしていない。建て替えを計画しているので、テナントに退去してもらいたい
・解決
当事務所から、老朽化・耐震不足を理由として契約を解約する内容証明郵便を送付し、テナントに対して建物明渡しを求める調停を申し立てました。
その際、耐震強度に関する診断書、耐震補強をする場合の見積書、立退料についての不動産鑑定士の意見書を添付し、建て替えの必要性と適正な立退料を証明しました。その結果、不動産鑑定士の意見書を基準とした立退料により、テナントの明け渡しが実現しました。
不動産鑑定士の意見書作成の際には、当事務所が提携している鑑定士に依頼をした上で、当該テナントの実情を詳細に説明し、テナントの特殊性に着目した説得力のある意見書が提出され、それが立退料算定の重要な資料となりました。
・相談
不動産管理業者だが、物件を飲食店等の目的で賃貸している。当初、中華料理店をしていたが、途中から日本料理店に業態が変更された。当方としては、業態変更自体について承諾をしていないので、何とかできないか。
・解決
当事務所が賃貸借契約書をチェックしたところ、賃借人は飲食店の範囲であれば業態変更をすることが可能であることが判明しました。しかし、経営者が変更になっている可能性があることから、管轄の保健所に対して情報公開請求をして、当該店舗の飲食店営業の許可主体を調査したところ、契約当初とは異なる会社が許可を取得していることが判明し、転貸がなされている可能性があることが判明しました。
そこで、無断転貸に基づく契約解除を主張して訴訟を提起したところ、無断転貸であることが明らかになり、和解によって建物の明け渡しが完了しました。
これは当事務所がご相談者が気が付かなかった別の観点からの調査を行ったことによって有利な解決ができた事例です。
(賃料増減額関係)
・問題
最近物件を取得した不動産オーナーであるが、前所有者が賃料増額の努力をしていなかったようで、賃料が周辺相場に比べて非常に低額である。2年に一度現行の賃料で合意をする更新契約書を作成してきたようだが、賃料は20年間同額のままである。なんとか増額できないか。
・解決
当事務所において、周辺の賃料相場を調査した上で、当事務所が提携する不動堂産鑑定士に簡易な査定を依頼したところ、明らかに周辺相場より現行賃料が低額であることが判明しました。
そこで、賃借人が賃料増額の内容証明郵便を送付した上で、調停を提起したが、話し合いが成立しなかったため、訴訟に移行となりました。訴訟では、2年ごとに更新契約をしていることから、賃借人からは「2年前に賃料を合意したばかりである。」との反論がありましたが、当事務所は「更新契約は締結しているが、賃料について実質的な協議がなされたわけではないから、賃料に関しては新たな合意が成立したものとは考えられない。20年前の合意のみが意味を持つものである。」と主張をしたところ、裁判所はその主張を受け入れ、20年間賃料が変更されていないとの前提で判決が下されました。
賃料増額訴訟では、最後に賃料を合意した時点(直近合意時点・最終合意時点)の認定が重要になりますが、更新契約時の事情を具体的に説明することによってオーナーに有利な判決が得られた事例です。
・相談
不動産を賃借して飲食店を経営しているが、賃料増額請求訴訟を提起し、一審で40%もの増額の判決を受けてしまった。40%もの増額では経営が成り立たないので、弁護士を変えて控訴審に臨みたい。
・解決
控訴審から当事務所が委任を受けました。一審では裁判所が依頼した鑑定士による鑑定書が提出されており、一審の判決はその鑑定書の内容と全く同じ内容の判決でした。しかし、当事務所がその鑑定書を精査したところ、単純な計算ミスがあったり、本来賃料相場を算定するために使用すべきではない事例を採用してあったりと、鑑定士のミスがいくつも判明したため、控訴審ではその点を主張しました。
そうしたところ、控訴審の裁判所は一審の鑑定書の不備を認め、増額幅を20%とする内容での和解が成立しました。
裁判所が依頼した鑑定士でもミスを犯しますが、裁判官がそれに気が付かずに判決を下すことがあります。当事務所が控訴審から委任を受け、一審の不利な判決が覆った事例です。
(境界)
・相談
河川敷に3万坪の土地を所有している不動産オーナーであるが、管理が不十分であったため、境界が不明確になってしまっている。また、隣地所有者が勝手に当方の土地に建物を建てて居住をしている。なんとか、境界を明確にし、建物の撤去をお願いできないか。
・解決
河川敷という特殊な場所であっため明確な境界標がほとんどありませんでしたが、訴訟を提起し、過去の航空写真や周辺の土地の形状などから隣地所有者と境界線を確定しました。また、不法占有者に対しては、当該占有者が反社会的勢力と思われる人物であったため、念のため処分禁止の仮処分と占有移転禁止の仮処分を行った上で、建物収去・土地明け渡しの訴訟を提起し、勝訴判決を得て強制執行にて建物の撤去に成功しました。
この案件は特殊な場所にある広大な土地であり、特殊な不法占有者がいる案件でしたが、境界の立証を工夫し、仮処分を活用することで無事解決した事例です。
・問題
不動産オーナーだが、長年建物の敷地として使用してきた土地について、最近市から、「市の土地に一部が越境しているので、建物を一部撤去してくれ。」との要求があった。たしかに越境をしているようだが、すでに30年以上も経過しているのに、今さらそのような要求をされることに納得がいかない。
・解決
市とは交渉による解決が難しいため、すぐに訴訟を提起し、市の土地を時効によって取得したことを主張しました。最高裁の判例で、「長年にわたり事実上公の目的に使用されることもなく放置され、公共用財産としての形態、機能を完全に喪失している」土地については取得時効をすることができるという判例があるため、それを主張し、相談者が30年以上にわたり自己の土地であると信じて占有をしていることを主張・立証しました。そうしたところ、裁判所の勧告もあり、市はその土地を相談者に譲渡するとの提案をしてきました。譲渡価格については、時効が成立している可能性が高いことを踏まえ、時価の5分の1程度の価格となりました。
最高裁の判例を駆使して、市を説得し有利な解決に導いた事例です。
(借地関係)
・相談
都内に貸地を5箇所所有している。将来の相続のことなどを考え、借地関係を整理したい。また、それぞれの借地の範囲が不明確になっているので明確にしたい。
・解決
当事務所から、借地人全員に対し、底地権(敷地の所有権)の売却について要請書を送って交渉を開始しました。また、提携する土地家屋調査士が各借地を測量し、借地の範囲や隣地との境界を確定いたしました。
その結果、5件中の3件について、測量の結果に基づき底地権の売却交渉がまとまり、底地権を現金化することができました。また、残りの2件についても借地の範囲が明確化することができました。
これは、当事務所が土地家屋調査士と連携することで、長年の懸案事項が解決し資産の整理が実現した事例です。
(任意売却)
・問題
不動産仲介業者であるが、不動産の任意売却を手がけている。しかし、抵当権者(各銀行)は担保解除に素直に応じたが、国税と地方税が滞納税額の全額支払いにこだわり差押えが解除できない。仮に競売になった場合でも国税・地方税には配当がないはずであり、どうにか解除してもらうよう交渉してもらえないか。
・解決
当事務所が国税・地方税の債権者である国税庁・自治体と交渉を行いました。その際、この不動産がいわゆる「オーバーローン」であることを諸資料によって証明し、国税徴収法48条、79条の無益差押の取消の規定を活用して国税・自治体を説得しました。その結果、滞納税を支払うことなく、差押の解除を実現し、任意売却が実現できました。
本件では、当事務所が国税徴収法の諸規定に基づき差押え解除の義務を強調することによって国税庁・自治体を説得し、差押え解除を実現できた事例です。