契約書の作成・確認(リーガルチェック)

契約書を作成する際に、インターネットで「契約書 雛形」「業務委託契約書 書式」などといったキーワードで検索して、情報をお探しになる方も多いと思います。

また、生成AIに、契約書案を作成させたり、契約書のリーガルチェックをさせたりしている方も最近は多くいらっしゃいます。

しかし、ネットで頒布されている雛形や生成AIが作成する契約書案を利用する場合には、そのまま使ってよいのか、どこにリスクが潜むのかを常に考慮するとともに、自社の求める内容を盛り込むなどして雛型や案をブラッシュアップする必要があります。

また、生成AIが行うリーガルチェックについても、その正確性を人間の目で確認する作業が必要です。さらに、契約交渉では、契約の相手方が契約書案を受け入れてくれることが必要ですので、自社の利益を優先するだけでなく、相手方が受け入れやすい案を提案する必要があります。

本ページでは、無料雛形や生成AI作成の契約書案のリスク、弁護士が行うリーガルチェックの範囲や重要性、料金の考え方、進め方などをわかりやすく整理しました。

無料雛形(テンプレート)や生成AI作成の契約書案に潜むリスクとは

汎用テンプレートや生成AI作成の契約書案は契約書作成の出発点として有用となる場合がありますが、次のような点が不十分である場合が多く、そのまま利用することには大きなリスクがあります。

  • 目的の不適合:対象業務や成果物の範囲の定義が曖昧で、当事者の責任分担が不明確であることによって、契約の目的に沿った契約書が作成できない。
  • 定義の欠落・重複:用語の定義が不足あるいはあいまいで、条文間で意味がぶれ、解釈に疑義が生じる。
  • 責任範囲の未設定:当事者の責任範囲が明確に規定されておらず、たとえば間接損害・逸失利益などの損害が賠償範囲に含まれるのかがあいまいになってしまう。
  • 知的財産の帰属・利用許諾が不明確:成果物・改変・二次利用などの扱いが整理されていない。
  • 再委託・下請関係:再委託の許可要件や責任の所在などが不明確。また、下請法対応が不足しており、下請法に違反する条項が含まれている。
  • 検収・受領基準:検収手続や契約不適合時の対応や責任(民法上の契約不適合責任)の記載が曖昧である。
  • 支払条件:支払サイト、遅延利息、経費負担、税務(源泉徴収・消費税)の処理が明確に記載されていない。
  • 秘密情報・個人情報:範囲・目的外利用禁止・返却/消去・安全管理措置の規律が不十分。
  • 競業避止・リクルート規制:競業避止義務が適切に設定されていない。期間・範囲のバランスが不適切で無効になるリスクが含まれている。
  • 準拠法・裁判管轄:契約当事者の利益に配慮されていない。紛争解決条項が抽象的で具体性を欠く。

テンプレートは「たたき台」としての意味はありますが、そのまま実務の使用に耐えるものではありません。また、重大な誤りが含まれている場合もあります。契約の目的、自社の利益を考慮し、適切な条項を整える必要があります。

弁護士によるリーガルチェックの範囲と重要性

弁護士のリーガルチェックは、単なる誤字訂正にとどまりません。弁護士は、契約締結の目的、依頼者の利益を考えてリーガルチェックをします。また、条項案が契約の相手方に受け入れてもらえる可能性など踏まえ、いくつかの条項案を提案することもあります。

  • 事業適合性の確認:契約の目的との整合性・契約当事者の役割分担が運用に耐えるか、社内規程や他の契約と矛盾しないか。
  • リスクヘッジ:想定されるリスクごとにその抑止策を整理し、リスクが発生した場合の対応や賠償についての条項を整備する。
  • 条項間の整合性:明確な定義の設定、条項間の用語の統一など、契約書全体の平仄が合うように整える。
  • 代替案の作成:依頼者の利益を優先しつつも、契約の相手方が受け入れやすい修正文案、条件を考える。
  • 交渉支援:交渉の手順を指南し、合意に至るための現実的な落とし所の提案をする。

主な対象文書

  • 業務委託契約書(請負・準委任)
  • NDA(秘密保持契約書)、相互NDA、一方NDA
  • 取引基本契約書
  • 売買契約書、賃貸借契約書、使用貸借契約書
  • 販売代理店契約書、フランチャイズ契約書
  • 利用規約・プライバシーポリシー

業務委託契約書で特に注意したいポイント

特に作成のニーズが高い「業務委託契約書」の作成やリーガルチェックでは、次の点がポイントになります。

  • 契約類型の選択:法的構成を請負契約とするか、準委任とするか。これにより、完成に対する責任や報酬発生時期などに違いが生じる。
  • 偽装請負・労働者性の回避:業務委託による請負(あるいは準委任)なのか、雇用契約なのかが問題になるケースが多い。業務委託契約とする場合、指揮命令簡関係・就労場所・時間管理などの条項について配慮が必要となる。
  • 検収・契約不適合対応:検収時の受入基準、修補・減額・解除など契約不適合責任の規定、請求期間の設定など、契約の目的に従った設計が必要となる。
  • 再委託:再委託の可否や再委託時の秘密保持など、条件を詳細に決めておく必要がある。
  • 報酬・経費:報酬の支払い時期や支払い方法、中途解約時の出来高の査定、業務遂行のための経費負担など、報酬や経費について詳細な規定を設ける必要がある。
  • 責任制限:受託者の責任をどのように定めるか、特に損害賠償の範囲をどのように設定するかを綿密に検討する必要がある。
  • 競業避止義務:期間・範囲の相当性、対価のバランス、公序良俗との整合性など、無効にならない条項設定が必要となる。
  • 終了時の処理:成果物・データの返還、移行支援、保管期間など、終了時の処理を決めておく方が望ましい。

ご依頼から納品までの流れ

ご相談・資料共有
内容

目的、背景、期限、相手方の属性、希望条件をヒアリング。ドラフトや関連資料を共有いただきます。

目安

即日〜

初期レビュー
内容

重要条項のリスク洗出し、緊急度の高い修正ポイントを特定します。

目安

短納期対応可(事案によります。)

修正案の提示
内容

赤入れ(修正履歴)とコメント、代替案の文案(複数案になる場合あり)を提示します。

目安

1〜3営業日目安

協議・交渉支援
内容

相手方の反応に応じて優先順位を再設定。オンライン会議・メールでサポートします。

目安

往復の頻度に応じ変わります。

最終案作成・締結支援
内容

合意文言の最終確定。別途費用にて、契約締結立会もいたします。

目安

即日〜

短納期案件、複数社間の合意調整など、個別事情により工程・期間は変わります。ご依頼時に現実的なスケジュールをご提案いたします。

料金プラン(スポット契約・顧問契約)

費用は「文書の種類・分量」「難易度・交渉量」「期限」などで変動します。事前に作業範囲と見積を明確にし、ご納得のうえで進行します。

スポット(単発)レビュー
内容

既存ドラフトの赤入れ・コメント、論点表の提示。1往復程度の修正を想定。

向いているケース

相手方提示の契約書を早期に確認したい。

スポット(交渉伴走)
内容

複数往復の修正案、交渉同席・メール文案サポート、最終化までの伴走。

向いているケース

重要取引で条件交渉が見込まれる。

新規作成(ドラフト)
内容

ヒアリングに基づくゼロベースの作成。運用前提のチェックリスト付与可。

向いているケース

雛形を自社仕様に整えたい、新規スキームを設計したい。

顧問契約内対応
内容

月額顧問料の枠内で日常的なレビュー・相談・交渉支援。

向いているケース

継続的に条項の標準化・ナレッジ蓄積を進めたい。

詳細は個別にお見積りします。

よくある質問

Q
ネットの雛形をベースにしても大丈夫ですか?
A

出発点としては有用ですが、そのままでは契約の目的に適合しなかったり、自社の利益が反映されていなかったり、リスクヘッジがなされていない場合があります。重要条項(責任制限、契約不適合、検収等)は必ず自社仕様に調整することを推奨します。

Q
生成AIが作成した契約書案を使用しても問題ないですか。
A

生成AIの能力や精度にもよりますが、出発点としては有用です。ただし、重要な条項が抜け落ちている、用語の統一が取れていない、条項間で矛盾があるなど、問題点もありますので、人間の目で全体をチェックする必要があります。

Q
取引先の契約書に不利な条項がないか、短納期でも確認できますか?
A

内容と分量によりますが、急ぎの初期レビューに対応する体制を用意しています。期限と優先順位を共有いただければ、重要度の高い箇所から順に検討します。

Q
費用はどのように決まりますか?
A

文書の種類・枚数、難易度、交渉の往復回数、納期などを踏まえて個別にお見積りします。スポット・顧問のいずれも対応し、進め方と範囲を事前に明確化します。

Q
契約書をゼロから作成していただくことは可能ですか?
A

可能です。

ドラフトをご用意いただく場合よりも費用がかかりますが、非定型の契約書案も作成可能です。ご依頼者のニーズを聴取し、ニーズにあった条項をオーダーメイドで作成します。

早期に弁護士へ相談するメリット

  • 交渉前に論点が整理でき、不要な譲歩を避けやすくなる。
  • 証拠化・事実関係の整備を先回りし、紛争化のリスクやコストを抑えやすい。
  • 事業側の意思決定を支え、法的リスクと収益機会のバランスを取りやすくなる。
  • 社内の契約標準(プレイブック)を整えることで、次回以降の対応が迅速化する。

「契約書 作成 費用」を検討する際のヒント

  • 作業範囲の定義:レビューのみか、ドラフト作成か、交渉伴走までかで費用は大きく変わる。
  • 優先順位の明確化:全条文の精査より、重要条項を重点的に—納期・コストの最適化に有効。
  • 標準化の活用:自社標準条項やチェックリストを整えると、将来の総コストを抑えやすい。
  • 資料の整理:背景・仕様・既存の取引条件等が整っているほど、効率よく進む。

まとめ—安全で実務に強い契約へ

契約書は、事業を前に進めるための「運用設計図」です。

無料雛形や生成AIの契約書案は便利な一方で、自社の実態に合わせた調整が不足しがちで、リスクが潜んでいます。弁護士によるリーガルチェックは、条文の整合性を維持し、リスク配分の最適化を通じて、紛争予防と交渉力の確保に寄与します。

本ページは一般的な情報提供です。最適な対応は状況によって異なりますので、各種契約書のご検討段階で、早めにご相談ください。当事務所では、案作成の進め方と費用感を事前に共有し、現実的な解決策をご提案します。

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